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『「納品」をなくせばうまくいく』を読んでみた

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昨年参加した、Cybozu Days 2017@大阪で聞いたソニックガーデンの人の話が面白かったので、同社の社長が書いている本『「納品」をなくせばうまくいく』を読んでみた。

Cybozu Daysは橋下元市長の話も面白かったです。

Cybozu Days 2017 大阪での橋下元市長の講演から学んだこと

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概要

『「納品」をなくせばうまくいく』では、タイトルの通り「納品」をしないソフトウェアの請負開発モデルについて、その背景となるソフトウェア業界の構造的課題、具体的なビジネスモデル、技術的背景、事例などが説明されています。

納品のない受託開発は、ざっくりいうと、月額制で、開発と運用を繰り返しながら、顧客のビジネスをIT面から支えるコンサルタントのようなシステム開発の行い方です。

既存のソフトウェア開発のやり方について、顧客にとっては、「納めて終わり」のソフトウェア開発に不満があり、システム会社にとっては、「納品」のリスクを一手に引き受ける高リスクを抱えている、という構造的な問題点を指摘し、その解決手法として「納品のない受託開発」を提唱しているのが印象的でした。

目標設定の重要性

同書を読むと目標設定の重要性を強く認識させられます。既存のモデルでは「納品」を目標にしていることから発生する課題がたくさん見えてきます。

例えば、「納品」をしてお金をもらうためには、「仕様」が決まっていなければなりません。なぜなら、「仕様」がなければ納められたシステムが契約内容を満たしたシステムかどうかを判断することができません。そして、仕様の策定には膨大な時間とドキュメントが必要になります。また、「納品」してお金をもらうからこそ、システム会社としても、顧客のニーズよりも、より高いシステムを納品する動機付けになり、顧客が本当に求めるシステムとは乖離してしまいます。

「納品」を目標から外すことで、システム会社も、ユーザーも動き方が変わってきます。

向き不向きがある

しかし、この納品のない受託開発にも向き不向きがあります。向いているパターンとして同書でピックアップされていたのは、スタートアップ企業におけるエンドユーザー向けシステム開発(社内で利用するシステムとの対比)ということでした。

スタートアップが適しているのは、サービスモデルや、システム要件が変わりやすいから、ということでした。確かに、不確定要素が多いなかで事業を進めていかなければならないスタートアップ企業にとって、納品したらそれで終わりのシステムに高額の投資をすることは妥当ではありませんね。

逆に、大規模なシステムや、きっちりした設計が求められるシステム(銀行のシステム等)には向いていないということでした。

業務系のシステムについては特に言及がありませんでしたが、基幹業務系でなければ適用も可能ではないか、と感じます。

疑問点

非常に勉強になる内容だったのですが、疑問に思った点もいくつかあります。例えば、納品のない受託開発では、ドキュメントをまったく作らないらしいのですが、ユーザーへの操作指導はどうやって行うんだろう、という点や、他の企業と競合して提案するときは、ユーザーはどうやって比較するんだろう笑、とかですね。

まあ、この辺はまたどっかで勉強したいなあ、と思います。興味ある方はぜひ読んでみてください!

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